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車箪笥とは

車箪笥とは、金銭や帳面などの貴重品を保管していた車輪付きの箪笥のことを指します。主に商家で帳場箪笥として使用されており、金庫のように扱われていました。車輪がついている理由は、火事などの際に貴重品が入ったこの箪笥を引いて逃げるためです。いわゆるキャスター付きの箪笥ですが、この頃の車輪は大きく個性的なルックスをしています。作られた期間が短いため、現存するアンティークの車箪笥は非常に貴重なものとされています。一方、民芸品の車箪笥は数が多く選びやすくなっています。

車箪笥の特徴


車箪笥の特徴は何と言っても四方に付けられた車輪です。現在のキャスターとは一味違う大ぶりの車輪が目を惹きます。また、貴重品を保管していた箪笥だけあって、がっしりとした立派な見た目も特徴的。防犯のため鍵付きのものが多くあります。箪笥の内部を守るため、框や横桟はかなり太く重厚なつくりとなっています。多くの車箪笥は、引き出しの角を金属で装飾してあり、また引手も同様に金属をしようしているため、とても立派な風格があります。

素材・装飾

車箪笥に使用される木材は、欅、ニレ、杉などが使用され、特に欅製のものが多く見られます。漆塗りで艶やかに仕上げた箪笥もあり、高級感と重厚さを感じられるデザインです。
また、箪笥の保護のために付けられた金属は、装飾の意味も兼ねています。草木の文様を彫ったデザインや模様を模ったもの、鋲を打ち込んだデザインなど箪笥をより美しく立派に見せてくれます。
貴重なものをしまう金庫のような役割を果たしていた箪笥であるため、より豪華に見せたいという買い手の思いを反映した装飾が施されているのです。

車箪笥の歴史


箪笥の歴史意外にも浅く、広まったのは江戸時代の頃でした。しかも、枠に対して引き出しが必要な箪笥は一般家庭で持つには高級で、上流階級の人のみが所有していたようです。庶民の多くは、つづらや行李、櫃、長物といった簡素な家具に衣類などを収納していました。庶民にまで箪笥が普及したのは江戸の末期と言われています。 江戸時代は特に火事が多かった時代です。そんな中、金銭や貴重品、帳簿など大切なものを焼失してしまうことも少なくありませんでした。そこで生まれたのが車箪笥です。火事の時にこの箪笥を引いて逃げれば、商売に大切なものを失わなくて済むという目的で作られたのが始まりです。

しかし、明暦3年の歴史的な大火事の時にそれぞれの人が車箪笥を引いて逃げた際に大変混雑して町がパニックになるという事件が起こりました。このことを機に幕府は江戸、京都、大阪の三都で車箪笥の製造を禁止したのです。
このためアンティークの車箪笥は非常に数が少なく、貴重なものとして扱われるようになっています。

車箪笥と帳場箪笥の違い

車箪笥は帳場箪笥の一種ですが、その違いは車箪笥には車輪がついているということです。一般的な帳場箪笥は持ち運びができるものではありませんが、車箪笥は有事の時はもちろん、必要に応じて移動できるのが最大の魅力です。どちらも人目に付く場所に置いて使う家具だったせいか、豪華で見栄えのするデザインのものが多くインテリアとしても優秀でした。

「帳場箪笥」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「帳場箪笥」のページはこちら

⇒ラフジュ工房の「帳場箪笥」はこちら

現代での使われ方

見た目に豪華で細かな細工を施された車箪笥は、現在は和風インテリアの主役として活躍しています。衣装箪笥と比較すると浅い引き出しやこまごまとした引き出しがあるため、書類や小物の整理にも役立ってくれるでしょう。重厚で味わい深いデザインのものが多いので存在感があり、部屋のアクセントとしても有能な箪笥です。

車箪笥のブランド

車箪笥の有名なブランドの一つに岩谷堂箪笥があります。日本伝統の箪笥を多く生み出しているブランドで、現在も車箪笥を作り続けています。
また、仙台民芸箪笥も多くの車箪笥を作ってきたブランドです。金具の装飾が美しく、細部にまでこだわりを感じるデザインが特徴です。
米沢箪笥では米沢唐戸と呼ばれる車箪笥を作っており、桐や欅を使用した引き出しには蝶、桜、のしや宝珠などをあしらった金具を付けるのが特徴的です。

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