フォールディングチェアとは折りたたみができる椅子のことで、コンパクトに収納したり手軽に持ち運ぶことができます。利便性に長けているので、家の中にたくさん人が集まる時や狭い場所で一時的に使用したい時、また屋外イベントの時などあらゆる場面で活躍します。学校やオフィス、キャンプ場やお庭などで一度は使用したことがあるという方も多いのではないでしょうか。
古い時代から存在するフォールディングチェアは、長い歴史の中で多種多様なスタイルが生み出されてきました。現代でもなお進化を遂げながら製造され続けるフォールディングチェアは、私たちの生活には欠かせない優れた家具です。
フォールディングチェアの特徴
名称にもある「フォールディング」とは「折りたたむこと」を意味し、必要な時にパッと広げて必要のない時にはサッと畳んで収納できるという点に最大の特徴があります。そして持ち運びのことも考慮し、基本的には軽量に設計されています。
さらに耐久性にも優れ、座面で人の重さをしっかりと支えることはもちろんのこと、何度も繰り返される椅子の開閉作業に耐えられるよう丈夫な構造・造りとなっています。
屋内外兼用のもの、または屋内と屋外それぞれ専用に作られたものがあり、用途に合ったフォールディングチェアを選ぶことで快適な使い心地を味わえたり、永く愛用することができます。
フォールディングチェアのスタイルの種類
製造された時代や国によって、実に様々なスタイルのフォールディングチェアが生み出されてきました。馴染みのあるものからユニークなものまで、多種多様なスタイルをご紹介します。
スツールタイプ
小型で使い勝手が良く、持ち運びも楽なスツールタイプは、手軽にサッと腰掛けたい時などにもってこいのアイテムです。
背もたれのあるタイプ
背もたれがあると座った時にゆったり感が生まれ、使用される素材によって様々な座り心地を味わうことができます。
アームのあるタイプ
アームによって体圧が分散され、より体に負担のかからない姿勢をとることができます。寛ぎの時間や読書の時などのリラックスしたいシーンにピッタリです。
ロッキングチェアタイプ
たっぷりと包み込まれるような感覚や、優しい揺れによって癒し効果を得ることができます。日本製の和モダンなものも数多く見られます。
「ロッキングチェア」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。
座椅子タイプ
あまり見かけない珍しいタイプですが、折りたたむとスマートに収納できるので、急な来客時などに役立つアイテムです。民芸家具の品は高級感もあって目を引きます。
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机と一体型になったタイプ
昔懐かしいリーディングデスク(昭和時代の学習机)は、そのユニークな形を活かしてディスプレイ台としても活躍しそうですね。古い木味がいい雰囲気を醸し出します。
フォールディングチェアの素材の種類
フレームや座面に使用される素材の種類によって見た目も性質も大きく異なります。それぞれの違いについて見ていきましょう。
【フレーム】木製
美しい木目からはクラシカル感やナチュラル感が漂います。金属製よりは重みがあり、しっかりとした強度もあるので安定した使い心地を味わえます。イギリスアンティークでも木製のものが多く、高級木材ではなく庶民的なビーチ材などがよく使用されているので親しみがあって現代の生活にも溶け込みやすいです。
【フレーム】金属製
重厚感のあるアイアンや軽量なアルミなど金属にも様々ありますが、いずれも耐久性に優れているので頻繁に使用しても摩耗の心配が少ない素材です。ヨーロッパやアメリカは広い庭を持つ家が多く、そうした庭でよく金属製のフォールディングチェアが昔から愛用されてきました。
【座面や背もたれ】布製
柔らかく優しい肌触りが特徴です。シンプルに布を張っただけのものと中にクッション材を入れたものがあり、クッション性のあるものはより快適な座り心地となり、長時間使用しても疲れにくいです。
【座面や背もたれ】レザー製
見た目に艶やかな高級感があります。使用していくほど味のある風合いへと変化し、質感も徐々に柔らかくなりしっとりと肌に馴染んでいきます。
【座面や背もたれ】ラタン製
ラタンの自然な風合いや美しい編み込みが特徴です。北欧デザインでもよく見かけ、中でもハンス・J・ウェグナーがデザインしたものが有名です。通気性が抜群で、ラタンのしなやかな性質によって優しく体を包み込みます。
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【座面や背もたれ】プラスチック製・アクリル製
軽量でメンテナンスが簡単なので、手軽な使用や移動が可能です。ヴィンテージでは各国の個性豊かな色味やデザインの種類を見ることができます。
【座面や背もたれ】ナイロン製
アメリカヴィンテージでよく見かける「ローンチェア」または「デッキチェア」などの座面は、ナイロン製のベルトや繊維を編み込んで作られています。軽量で汚れや水気にも強く、当時はビーチや庭で使用されていただけあって屋外での使用に最適です。
フォールディングチェアの歴史
フォールディングチェアの起源は古代エジプトまで遡ります。当時金属製のものはほぼ無く、フレームは主に木で作られ、美しい彫刻・金メッキ・象牙などで装飾が施されていました。ツタンカーメンのお墓にも金具や象牙を用いたフォールディングチェアがおさめられていますが、この時代は椅子に座ることが権威の象徴でもあったようです。ヨーロッパでも北欧青銅器時代のフォールディングチェアが18脚以上発見されており、このことからも古い時代から使用されていたことが分かります。
中世になるとイギリスなどでは教会での礼拝時に折りたたみ式の椅子を使用するようになっていきます。そしてフォールディングチェアの背もたれに、背後に座る人のための机・聖書収納スペースなどを備え付けたチャーチチェアが開発され、教会や学校の場で役立ちました。さらに1人用のチャーチチェアだけでなく複数人が座れるような折りたたみ式のチャーチベンチなども作られました。
その後も様々な人が改良を重ねる中、1930年頃にCLARIN(クラリン)社がアメリカで初めてのスチール製フォールディングチェアを製造します。X型のフレームを特徴とした造りで、強度と耐久性が高められました。現在もそのスタイルはフォールディングチェアの代名詞のように世界中で活躍しています。いつの時代もその優れた実用性で、日々の暮らしに豊かさを与えてくれたフォールディングチェアは、これからも世界中で愛され続けることでしょう。
フォールディングチェアのあるインテリア
手軽に取り入れたり組み替えたりできるので、クラシカル・シャビー・カントリー・ジャンクなど多彩なインテリアの雰囲気を気軽に楽しむことができます。
座るだけでなくディスプレイ台として使用したり、お店のインテリアとして使用したり、色々な活用法で空間の雰囲気作りに大活躍してくれるアイテムです。