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バルボスレッグ(ブルボーズレッグ)とは

バルボスレッグ(ブルボーズレッグ)とは、西洋の家具や建築に用いられる伝統的な装飾の一つです。球根(bulbous)のように膨らんだ形が特徴で、主にテーブルや椅子などの脚部、建物の支柱に用いられます。12世紀から15世紀のイギリスで登場したとされ、16世紀頃から17世紀初めごろのイギリス・エリザベス女王の時代に流行しました。

バルボスレッグの特徴

バルボスレッグの最大の特徴は、球根のような形状にあります。カップを上下にあわせたような楕円形の球体で構成され、上下で違う彫刻が施されているのが特色です。

例えば、上部は花弁を、下部はアカンサスの葉が彫られているデザインがあります。バルボスレッグが流行した時期には、ルネサンス期の影響を受け古代ギリシャやローマに由来するモチーフがたびたび使われました。

バルボスレッグの歴史

本項では、バルボスレッグの歴史を3つにわけて解説します。

チューダー様式期(12-15世紀)

カップアンドカバーレッグ
カップアンドカバーレッグ

バルボスレッグは歴史は古く、12〜15世紀のイギリス・チューダー様式期にはじまりました。もとは、ゴシック様式の僧院に使われていた柱のデザインから生まれたとされています。

当初は表面に彫刻がなく「カップアンドカバーレッグ」というシンプルなデザインが主流でした。

エリザベス様式期(16世紀-17世紀初頭)

アカンサスの葉が彫られたバルボスレッグ

16世紀のエリザベス様式に映ると、バルボスレッグが本格的に流行します。ルネサンス期から続く影響を受け、古代ローマなどの彫刻が好まれました。

バルボスレッグが発展した背景には、エリザベス1世が即位したことでイギリス国内の情勢が落ち着いたことがあげられます。国内の生活が安定するとともに、住宅を構える国民が増加しました。大型の家具の需要も増えたため、バルボスレッグのような存在感のある装飾が発達しました。

ジャコビアン様式期(17世紀初頭-17世紀後期)

17世紀にジャコビアン様式期を迎えると、シンプルで上品なデザインの家具が流行しました。全体的に大きく、存在感のある装飾が主流だったバルボスレッグは、全体的にシンプルにかつ細くなっていきます。

ジャコビアン様式のバルボスレッグとして代表的なデザインが、花瓶形です。シンプルなデザインで細長い形状のため、椅子のような小型の家具にも用いられました。

衰退と再評価

17世紀の終わりごろから18世紀初めにロココ様式が台頭すると、バルボスレッグは衰退しはじめます。理由は「カブリオールレッグ」のような、軽快な装飾の家具が求められたためでした。

しかし19世紀にヴィクトリア様式や復古様式が登場すると、バルボスレッグのリバイバルブームが起こります。20世紀初期にはアール・デコ様式が登場し、バルボスレッグが再構築されました。

バルボスレッグは衰退と再評価を繰り返し、現代でもイギリス伝統のデザインとして受け継がれています。

「カブリオールレッグ」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「カブリオールレッグ」のページはこちら

「ロココ様式」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「ロココ様式」のページはこちら

アンティーク家具のバルボスレッグ

バルボスレッグは、家具の機能性を重視しつつも、外観に重厚感や高級感をもたせる効果があります。アンティーク家具に見られるバルボスレッグを見てみましょう。ダイニングテーブルやカップボードのような大型の家具は、一見シンプルに見えるものの、バルボスレッグを取り入れることで豪華絢爛な印象です。

バルボスレッグのおもしろい呼び名

英語圏では球根のような形状を意味する「bulbous」が使われていますが、ヨーロッパ諸国では、見た目から連想したユニークな名前で呼ばれることもあったようです。

例えば、イタリア・フランス・オランダでは「メロンバルブレッグ」「パイナップルレッグ」などがあります。

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