お買い物こちら

キーワード検索

アンティーク辞典アンティーク辞典

ベントウッドチェアとは


ベントウッドチェアとは「ベントウッド=曲げ木」の名の通り、曲げ木の技術を用いて作られた椅子のことです。曲げ木は、粘りのある木材を蒸気で熱して柔らかくしてから自由な形状に曲げる工法で、切ったり削ったりしないので木材を効率よく活用できます。
19世紀のドイツで誕生したベントウッドチェアはアンティークチェアの定番の一つとして、またヨーロッパのカフェスタイルの代名詞としても広く知られ、今も製造され続けているとても人気の高い椅子です。

ベントウッドチェアの特徴

しなやかな曲線美

ベントウッドチェアを見た時に一番印象に残るのは、やはり木が描き出すしなやかな曲線美ではないでしょうか。その角のない柔らかいシルエットは空間にまろみを与え、線の細いデザインによって圧迫感なくスタリッシュな雰囲気を醸し出します。木目はジョイント部分がないので木本来の美しい姿を楽しむことができます。

軽くて丈夫

無駄のない洗練されたデザインとシンプルな構造でできたベントウッドチェアは軽量で、片手でも簡単に運ぶことができます。
また曲げ木は木材の繊維を断ち切らずに作られるため、細身のフレームにしては強度や耐久性が高いといえます。アンティーク品が数多く現存していることからもその丈夫さが窺えます。

ベントウッドチェアのフレームの種類

ベントウッドチェアの大きな特徴でもあるフレームのデザイン。バリエーションは豊富にありますが、代表的な7種類をご紹介します。

ダブルループチェア

ループ状に湾曲した2本の棒が縦に並んだデザインです。「バルーンバック」「フープバック」と呼ばれることもあります。
ベントウッドチェアの中で最もよく見かける定番スタイルですが、中でもトーネット社製「No.14」というベストセラー作品で用いられているデザインとして有名です。

ツーバーチェア

2本の棒が平行に配置されたデザインです。そうした形状がハシゴ(ラダー)のようにも見えることから「ラダーバック」との別名も持ちます。カフェなどで見かける機会も多いツーバーチェアの磨き上げられたシンプルなデザインは、どんなシーンにもマッチします。

ユーバックチェア

アルファベットの「U」の字を逆さにしたようなデザインです。「U」の先端は座面に届くほど長く伸び、深く座った時に腰部分をサポートしてくれます。「U」を囲うフレームは四角のような形状で、その対照的な2つの形状が組み合わさったデザインからはクールな雰囲気も漂います。

バンブーバックチェア

背もたれに3本の棒を縦に並べたデザインで、その棒には竹(バンブー)をモチーフにしたデザインが施されています。そのオリエンタルな雰囲気がヨーロッパでは新鮮に映り人気を集めました。高級感と落ち着きがあり、和洋折衷な空間にもしっくり馴染みます。

パネルバックチェア

木製の薄い板が背もたれに付いたデザインです。板は緩やかに湾曲しているので、背中の形にフィットしながらしっかりと支えてくれます。中には板の部分に手彫りの装飾を施したものもあるため、大量生産がほとんどだったベントウッドチェアには珍しい一点物の品も存在します。

カフェチェア

数あるベントウッドチェアの中で最もヨーロッパのカフェで使用されていたことから「カフェチェア」との愛称が付きました。湾曲した背もたれ、また複数のパーツで構成されたガッチリとした造りを特徴としており、カフェのシーンでゆったりと安心感を持って座れるようにと考えられたデザインです。

アームチェア

アーム付きのベントウッドチェアはほとんど見かけることのない貴重な種類で、希少性や実用性が高いため人気の高いデザインとなっています。アーム部分も曲げ木でできていたり、ゆっくり寛げるよう座面も広く設計されていることで、優雅でどっしりとした座り心地を味わうことができます。

ベントウッドチェアの座面の種類

座面に注目してみると様々なデザインがあることに気付きます。ベントウッドチェアが製造され始めた頃の座面は主に籐で作られ、素朴で温かみのある雰囲気と柔らかい座り心地が大きな魅力となっています。その後経済面などを考慮し、座面は合板で作られるようになっていきましたが、ベントウッドチェアでは一般的な椅子ではあまり見かけない型押しやパンチングの模様がよくあしらわれました。描かれる模様も国や時代によって様々な種類があります。

ベントウッドチェアの歴史

ベントウッドチェアの要でもある曲げ木の技術がいつ始まったのかは実ははっきりと分かっていないものの、各地の出土例からみて古代エジプト時代には開発されていたのではないかと考えられています。
そこから長い時を経て初めて家具の製造法として確立されたのは近代へと時代が進んだ19世紀頃。その第一人者はドイツ生まれのミヒャエル・トーネットという家具デザイナーでした。
彼は1830年頃に曲げ木技術の実験を開始し、1849年に特許を取得、1850年代には自身が創設した「トーネット社」にてベントウッドチェアの大量生産に成功しました。
上質な美しい椅子を効率良く大量に生産できる曲げ木の技術は家具業界に革命をもたらし、ロンドン万国博覧会で銅メダルを獲得するほど高い評価を得ました。
中でも1895年に完成した「No.14」という作品は、世界で初めて6つのパーツに分けて組み立てられる「ノックダウン方式」で作られ、分解した36脚分ものパーツを1㎥の箱の中にコンパクトに梱包することを可能にしました。現地で簡単に組み立てられ、さらに丈夫さも美しさも兼ね備えた「No.14」は超ベストセラー商品となります。

「一般の家庭でも気軽に使える安価で質の良い椅子を」というトーネットの思いが形となったベントウッドチェアは、飲食店や病院など様々な場所で使用されるようになり、イギリス・フランス・ベルギーと世界中に普及していきました。
「No.14」が誕生した約半世紀後には日本にも曲げ木の技術が伝来し、家具づくりや伝統工芸の分野で独自の発展を遂げていきました。特に「秋田木工」は、100年以上も続く日本で唯一の曲げ木家具専門工房として有名です。
何世紀にも渡り世界中で愛され続けてきたベントウッドチェアの技術やデザインは今日まで大切に受け継がれ、多くの人を魅了し続けています。

ベントウッドチェアのあるインテリア

ベントウッドチェアはデザインがシンプルなのでどんな空間にでも溶け込みやすく、機能性や芸術性などあらゆる面で優れているので、色々な使い方でインテリアを楽しむことができます。

統一感のあるコーディネート

アンティーク家具は通常一点物が多いのですが、丈夫な造り、そして大量生産という背景を持つベントウッドチェアは現代に数多く残っています。そのためアンティーク家具でありながら同じデザインで揃えたり、統一感のあるコーディネートがしやすいといえます。

豊富なデザインを手軽に自在にコーディネート

先述のようにデザインが多種多様にあるので、オリジナルの自由なコーディネートが楽しめます。また軽量なので気分によって組み合わせを変えることも気軽にできます。

ディスプレイとして楽しむ

お部屋に1脚のベントウッドチェアが佇んでいるだけで絵になり、座面に小物や植物などを飾れば魅力的なディスプレイ台のように使用することもできます。

お買い物はこちら