アンティーク家具について

椅子の座り心地を追求。イギリスビンテージブランド、パーカー・ノール

数あるイギリスの木工家具メーカーのなかで、Ercol(アーコール)などと並んで有名なビンテージ家具ブランドの一つ、Parker Knoll(パーカー・ノール)。
日本での知名度があまり高くないような気がしますが、設立当初からずっと、椅子の座り心地の良さを探究し続けている、イギリスでは有名な老舗家具ブランドなんです。
今回は、椅子に新しい “心地よさ” の基準を生みだしたといわれるそのパーカー・ノールにスポットライトを当ててみたいと思います。

「パーカー・ノール」ができるまで

パーカー・ノール(Parker・Knoll)という社名は、フレデリック・パーカー(Frederick Parker)とウィリー・ノール(Willi Knoll)という、椅子づくりに熱い情熱を燃やした職人二人の名前に由来しています。
二人の出身はイギリスとドイツ。違う国で、それぞれに座り心地のよい椅子を作るという夢を大きく膨らませていました。
離れた場所で膨らんだこの二人の想いはどのようにして交差することになったのでしょうか。

「心地よさ」というゴールを目指した創設者

パーカーノールの歴史
「パーカー・ノール」の土台をつくったのは、イギリス人のフレデリック・パーカー。
父親も家具職人であったパーカーは、父親の工場で職人としての修業をした後、その工場の片隅を借りて椅子づくりを始めました。
その時から、見つめていたゴールはただ一つ。「”座る” という日常に新たな体験を!」
イギリスの職人魂にプライドを持つパーカーは、常に「他に類を見ない心地よさ」と「時代を超越するデザイン」を意識した椅子作りをしていました。

「心地よさ」のために新しい技術を生んだパートナー

パーカーノール スプリング
ウィリー・ノールはドイツ人。第一次世界大戦中に乗っていた戦闘機の椅子の座り心地がひどく悪かったという自らの体験をもとに、椅子の座面と背もたれにスプリングを入れた新しい椅子の開発を思いつきました。
試行錯誤を重ねて独自のコイルスプリングを発明したノールは、それを使った椅子のサンプルを携えて、自らのアイディアを形にしてくれる工場を探してイギリスへ渡りました。そのイギリスで出会ったのが、父親フレデリックの情熱を引き継ぐ二代目パーカー。
20世紀初めのイギリスといえば、産業革命後の大量生産時代の真っ只中。パーカー社製品が目指す座り心地を落とすことなく、大量生産に対応できるような新しい技術を探し求めていたのです。
究極の座り心地を求めて常に新しい技術を求めるパーカーと、座り心地を求めて新しい技術を開発したノール。ふたりはすぐに新会社を設立することになりました。それこそがパーカー・ノール。1931年のことでした。

ビンテージなのに古くならないデザイン

パーカーノール
創設者のフレデリック・パーカーは椅子づくりの参考として、古い椅子ばかりでなく、書籍、生地のサンプル、彫刻などありとあらゆる資料を集めていました。
その理由は、”良い椅子を作るためにはオールド・マスター(巨匠)から学ぶべきである” という哲学に基づくもの。時代を超えて残った資料を参考に、時代を経ても古びない「時代を超越するデザイン」を探求することも忘れませんでした。
パーカー・ノールが設立した当時の流行のスタイルはミッドセンチュリー。その特徴は、古き良きを愛し、シンプルで飽きのこないデザインです。”座り心地” という実用性と “シンプル&モダン” というデザイン。パーカー・ノールが目指すものと時代が見事にリンクしたのです。

シンプルな形と目を惹くファブリック

パーカーノール アームソファ
シンプルですっきりとした木の骨組みと少し柔らかめのスプリングコイル。そして、それを包むのが目を惹くファブリック。
そんなパーカー・ノールのビンテージチェアにはもちろんさまざまなデザインがありますが、なかでも恐らく一番有名なのが「ウィングチェア」と呼ばれるアームチェアです。高い背もたれと、その両側に付いた翼(ウィング)のような頭受けが特徴です。
脚以外の部分をくるりと包み込むのは、さまざまなパターンのファブリック。木材を活かしたシンプルな骨組みに、それぞれの時代に合った個性的なファブリックを合わせるスタイルは、ビンテージから現在に至るまで変わらない基本のデザインとなっています。
これまではただ部屋のおしゃれなアクセントとして見ていた椅子の座面生地さえ、パーカー・ノールの探究精神を知った今では、ひと味違って見えてきますね。

最後に

昔も今も、みんなが求めているであろう座り心地のよい椅子。そこに情熱を燃やした職人の話、いかがでしたか。シンプルで洗練されたデザインからは想像もつかない熱い思いが込められてるのですね。いや、使って良いものとは案外シンプルなのかもしれないと改めて思わせられました。
これからパーカー・ノールの椅子を見つけたら、そんなことも考えながら “座り心地” を確かめてみてしまうような気がします。

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