RAFUJU MAG

ANTIQUEFURNITURE RAFUJU STUDIO MAGAZINE

ガラスの引き戸が印象的な、小さな漁村のゲストハウス

三重県にある人口約600人の小さな漁村・三木浦。
古くから遠洋漁業の基地として栄えてきました。
村の一番東の端を目指して、美しい賀田湾の海を眺めながら進むとひときわ目を引くハイセンスな古民家にたどり着きます。
ここが、今回の取材先の三木浦ゲストハウスです。

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「三木浦ゲストハウス」からの眺め。透き通る海が目の前に広がる

築65年の古民家は、とても堂々とした佇まいで、美しく塗られた黒い木の壁や整然と並ぶ薪など、すみずみまで手入れが行き届いています。
その入り口には、ラフジュ工房でお求めくださったアンティークのガラス引き戸がぴったりとはまっていました。

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ゲストハウスの顔とも言える玄関に、ラフジュ工房のガラス引き戸が使われている

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弓削さまの奥さまが書かれたゲストハウスの看板

もともとは10年ほど使われていなかった古民家をオーナーの弓削さまが見つけ出し、改築してゲストハウスにしたのが2年前。
「昭和レトロ」をテーマに、埋もれていたかまどや土間など、築65年の趣を活かしつつ、居心地のよい空間にリノベーションしました。
その際、扉はゲストハウスの玄関としてふさわしい、解放感のあるガラス扉にしようと思った、という弓削さま。
「上下のすりガラスに挟まれて、取っ手のある中間にクリアガラスが入っているところが気に入っています。
丸見えではないけれど、中の様子がちらりと見える、そのバランスがちょうどよかったんです」

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素敵な笑顔で家具についてお話してくださるオーナーの弓削さま

さらに、玄関から上がってすぐのロビーの扉にも、ラフジュ工房のシンプルなガラス戸が4枚使われていました。
もともとはまっていた障子戸だと、部屋の中が暗くなるので、ロビーとして改築する際には、外の光が入って明るくなるよう、ガラス戸にしようと考えたそうです。
どちらも、最初から付いていたかのようにゲストハウスになじんでいました。
「この味わいはアンティークならでは。新品の建具には出せませんね。
ラフジュ工房のサイトには、写真がたくさんあってディテールがよく分かるので、イメージ通りのものがちゃんと届きました」と弓削さまも満足げなご様子です。

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ガラス戸にしたことで、ロビーに外の光がたくさん差し込むようになっている

また、ガラス引き戸を開いた玄関には、ゲストハウスらしく町の情報コーナーが設置されています。
マップやフライヤー、お土産品などが並ぶのは、ラフジュ工房でお求めくださったという"脚付きガラスケース"です。
「この木の色合いが、情報を見るためのケースにはぴったりだと思いました」と語る弓削さま。
実は、ゲストハウスのインテリアは、ダークな色調で統一しているにもかかわらず、この脚付きガラスケースだけは、明るい色調。
それが弓削さま流の「はずし」の感覚なのです。

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玄関に設置されたガラスケース。旅人には必須の情報コーナーとして活躍

というのも、弓削さまは本業がヨットのデザイナー。
それも、帆のついたシンプルなヨットではなく、セレブ向けの豪華なヨットです。
美術学校を卒業後、東京の家具商社に勤めていた弓削さまは、外資企業の役員室や銀行などの高級感あふれる内装を手がけるうちに、船の内装にも携わるようになりました。
やがて、船そのものをデザインするようになり、造船業の盛んな地を転々としながら、30年ほど過ごしたといいます。
三木浦の地に定住を決めたのは10年ほど前。
その頃には、モナコの富裕層やドバイの顧客向けの高級感あふれるデザインに疲れを感じはじめ、反対に木のぬくもりを感じさせる、素朴なデザインに惹かれていったそうです。
プライベートで使う家具にも、味わいあるアンティークを求めるようになりました。
「アンティークといっても、きれいすぎる家具にはあまり興味はないんです。
作者不明なんだけど、しっかりと使われてきた味わいのある日用品や家具を暮らしの一部として取り入れることが好きなんです」
ゲストハウスには、他にも、弓削さまご自身がつくった家具や、新品にあえてエイジング加工を施した、味わいのある家具であふれています。
それぞれが見事に調和し合って、ゲストハウスの居心地のよさを作り出しているのです。
そんな家具選びの感覚は、長年培われてきたデザイナーとしての弓削さまのセンスという他ありません。

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弓削さまがデザインされた尾鷲市のご当地ナンバープレート

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弓削さまが描いた水墨画も、ゲストハウスのインテリアとして使われている

「アンティーク家具の中でも、ガラス戸などの建具は少し上級者向けかもしれませんね。
寸法をしっかり合せることが何より大切なんです。
使い心地はよいですよ。でも、定期的なメンテナンスは必要ですね。
特に外のガラス引き戸は、海風が当るので、色があせてきています。
ラフジュ工房には専用のワックスも販売しているので、そろそろ塗らないと......と思っていたところです」と弓削さん。
難しい建具でも、インテリアデザインや船の設計等に長年携わってきた弓削さまだからこそ、使いこなせているのかもしれません。

弓削さまは、今は、2階のリノベーションに夢中なんだそうです。
「2階は天井が低くて、屋根裏部屋のようになっています。今後は、この小さなスペースを活用して、ライブラリーにしようと計画中です。学生時代に買い集めたジャズのLPを持ってきて、アナログの優しい音を聞きながらお酒も飲める、大人の空間にしたいですね」と本当に楽しそうにお話してくださいました。

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改装中の2階の廊下。壁沿いに雑誌がずらりと並ぶ

弓削さまのインテリアのセンスのよさやお料理の美味しさ、そして三木浦のロケーションのよさに、ゲストハウスには連日多くの人々が訪れます。
「5割が外国のお客さんですね。海外のサイトですごく評価が高くて。ハードルがどんどん上がるので困ります(笑)」
ゲストハウスは1日1組限定で、まるで自分の別荘を持ったかのような気分になれるのも魅力です。
昭和レトロな古民家で、穏やかで美しい賀田湾を眺めながら、のんびりと一日を過ごす......
そんな贅沢な時間をアンティーク家具と過ごしたい人に、ぜひおすすめのゲストハウスです。

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弓削さまとライター大村。縁側からは、穏やかな賀田湾の絶景が望める

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和室から見た景色。オーシャンビューという贅沢

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ラフジュ工房 もりたより

抜群のロケーションの中、穏やかな波の音が聴こえてきそうな「三木浦ゲストハウス」。 オーナーである弓削さまの、ダイナミックかつ職人気質なモノとの付き合い方に学ばされるところが多々あります。 弓削さま流の、"はずし"ポイントなども興味深いです。家具たちをより魅力的に魅せる柔軟な発想力と、空間への光の取り入れ方など計算して建具を選ぶ慎重さを兼ね備えていらっしゃいます。 そんな両者のバランスが、家具それぞれの個性を混ぜ合わせ共存させる、居心地のよい空間づくりにつながっているのですね。そうして当店の建具やガラスケースがゲストハウスの中でしっくりと馴染み、一部になっている様子にとても幸せなきもちになることができました。

そしてなんと弓削さま、あれからヨットの体験クルージングも始められたとのこと。詳細はぜひこちらよりご覧ください。

https://yacht-sailing.jimdo.com/

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【建具のメンテナンスについて】

当店の建具は室内用として仕上げておりまして、玄関でご利用いただいているガラス引き戸の海風による色褪せについては、当店のワックスではメンテナンスとして対応できかねてしまいます。大変恐れ入りますがご了承くださいますようお願い申し上げます。ご使用を希望されるお客様は、当店カスタマーサポートへ一度ご相談くださいませ。

筆者のご紹介

大村沙耶

地元福岡の大学で芸術工学を学び、卒業時にはちゃぶ台を制作。編集・ライターとして日々雑誌制作に励んでいます。現在、長屋にて妹と猫とのふたりといっぴき暮らし。古きよきモノに囲まれた暮らしに憧れます。アンティーク家具の楽しみやインテリア好きの方々の素敵な暮らしぶりを、みなさまにお伝えします。

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