RAFUJU MAG

ANTIQUEFURNITURE RAFUJU STUDIO MAGAZINE

手を入れれば、手に入るもの

「みんな住まいを諦めてるんですよね」
どきっとするような言葉。
「既製品に囲まれて育つと、古いものを使いこなす智恵が身につかないんです」
柔らかい笑顔と、落ち着いた話し口。
近藤様のその柔和な佇まいには、しっかりと1本の筋が通っているのを、出会う人は感じると思います。

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近藤様のレンタルスペース。手前の緑のソファ、左手奥の収納棚が
ラフジュ工房からお求めくださったもの

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座高が高く、かさばらない。大勢の来客があるときに活躍する
ラフジュ工房の「1960年代のビンテージアイアンチェア 4脚セット

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上段には重くならないようガラスのもの...など配置も考えられています

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カウンターでお話を伺うスタッフ森田

習い事の教室やイベント用にレンタルスペースとしても貸し出していらっしゃるご自宅ではドアノブから棚に並ぶ調理道具、アンティークの食器棚と器、そして様々な形のスツールまで、それぞれに個性あふれる品に混ざって、祖父母の代から受け継がれた飛騨家具のしっかりとした椅子や、二月堂机(文机)も現役で活躍しています。

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アラジンのランプを連想させる、珍しい形のやかん。
急激に熱くなるため、現代のコンロでは使えないそう

現在のお住まいに引っ越される前は、いわゆるツーバイフォーの戸建てだったそうですが、これらの家具の良さを分かっているからこそ、住まいには満足していなかったそう。

「合板素材が嫌で...好きな家具を収めるには好きな空間じゃないと!と思ったんです」
そこで出会ったのが今お住まいのマンション。
リビングに入ると、右手にお茶のお稽古もできそうな畳の小上がりがあります。
カウンター席付きのキッチンと、その先には大人が10人は座れそうな大きなダイニングテーブル。
カーテンを間仕切りとして使えば小上がりが独立した空間になり、開け放てばひとつの大きな部屋としても使える変幻自在な間取りです。

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リビング入口からの風景。
小上がりを囲むようにカーテンレールがあります

実はこの空間、元々は3LDKの間取りだったそう。
それを「できるだけ抑えた費用で」と、大工さんとアイデアを出し合いながら4ヶ月をかけて改修されたのだとか。

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大きなダイニングテーブル。向かって左側に並ぶのが飛騨家具の椅子

「まずキッチンをアイランドにしたくて、そしたら背後の棚のスペースはあまり取れないよ、と大工さんに言われて」
『薄い』食器棚を探しているうちに見つけたのが、ラフジュ工房の「シンプルな薄型前面ガラス収納棚」でした。
新しくできた家に、まず最初に収まったのがこの棚だったそうですが、壁に作り付けの道具棚と奥行きがほぼ同じで、統一感があります。
「嬉しかったですよ。すごくしっくりおさまったので」

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作り付けの棚、収納棚、ラフジュ工房の「鉄脚長イス」もほぼ同じ奥行き。
京野菜の入った桶が置かれていました

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収納棚の上にも所狭しと料理道具が。統一感があります

収納棚に加えて、リビングルームのドアノブ、キッチン・シンクや蛇口、さらにはカウンター周りのアンティークのスツール達も、全てインターネットで近藤様自ら探してきたものだそう。

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インターネットで購入したというドアノブ。
扉の色もアイボリーから塗り替えたそう

日々の仕事と子育ての合間を縫って進められた新しい住まいへの準備。
夜中でも買い物できるインターネットの存在は不可欠だったそうです。
「始めは失敗もしました」とのこと。
「すごく綺麗な写真が撮れているんだけど、写真の数が少なかったりして。届いてみると色のイメージが違ったんですよね。友人にもらってもらいましたけど。
その点ラフジュ工房ほど、写真が充実したサイトはないですね。キズがあってもしっかり見せているし」
細かな部分まで確認できて、躊躇なく購入を決断できたそうです。

そうして集まった個性も素材もばらばらな家具たち。
全体の高さを揃えるためにスツールの脚を切ったり、ホームセンターで手に入れたテレビ台に、空間に合うような色を塗ったり、プチDIYとも呼べるような作業を厭わずにされたお陰で、統一感のある空間が生まれています。

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脚を切って高さを揃えたスツール

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色を塗り直したというテレビ台

そうして、お気に入りの家具がお気に入りの空間に収まり、ひらめいたのがレンタルスペースのアイデアだったそうです。
たくさんの人が集まれるように、と再びラフジュ工房に戻ってお求めくださったのが、「1960年代のビンテージアイアンチェア 4脚セット」です。
「座ってみるとわかるのですけど、座面が高くて、ダイニングテーブルと高さが合うんです」
サイズまできちんと確かめて購入してくださった椅子は、2脚横並びで、食器棚の隣のスペースにきれいに収まります。

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すっきり収まります

ただ、ひとつだけ後悔していることがあるそうで、
「4脚セットが2セット分在庫あったのに、1セットしか買わなかったんです!
後からみたらもう売り切れていて...このサイズ、なかなかないんですよ。もう入荷しないでしょうか?」とちょっと悔しそう。
アンティーク家具との出会いは一期一会。
気になる家具を見つけても、決めかねている間に逃してしまったなんて話もよく聞きます。
そのスリル感も、一点もののアンティーク「ならでは」ですね。

手に職を持ち、個人で仕事をしている人が多いという京都で、落ち着いたレンタルスペースの需要は高いそうで、口コミで評判が広がった今では、料理にウクレレ教室まで、幅広い人が訪れています。
「これはどこの家具?なんて聞かれた時は、いつも(ラフジュ工房の)サイトを紹介しているんですよ」と、ありがたいお言葉。
近藤様の住まい造りのアイデアに刺激を受けて、同じ大工さんを紹介して!という方もいらっしゃるとか。

影響を受けているのは、レンタルスペースのお客様だけではありません。
「息子も、自慢みたいです」と口元をほころばせます。
お友達を自宅に呼んでは、アンティークのソファに並んで腰掛けてテレビゲームで遊んだり、時にはキッチンに並んだワイングラスでジュースを飲みたがることも。
「きちんと言えば、大事にしてくれるんです」
古くて良いものや、丁寧に扱いたいものとの付き合い方を自然と身につけているようです。
きっと、訪れたお友達の間からも、次世代のアンティークファンが育っていることでしょう。

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息子さんとお友達が3人並んで腰掛けるというアンティークのソファで。
近藤様とスタッフ森田

そうそう、こうしてアンティーク家具の魅力に目覚める人が増えているからこそ、
「地元で修理を請け負える、提携の家具屋さんがあると良いのに」とラフジュ工房への要望をいただきました。
ちょっとした気になることを相談できる地元の家具屋さんとのネットワークがあれば、もっと安心してお求め頂けるかもしれませんね。
古いものを使いこなす智恵を身につけるのが難しい時代ですが、「こんな風にできるよ、という提案がラフジュさんのウェブサイトやフェイスブックで見られるのは良いですね」とのこと。
そして近藤様のスペースは、アンティークや年代物の家具と過ごす心地よさを体感できる貴重な場でもあります。
その場の力に魅せられた人が集まり、新たな人や家具との出会いが生まれ、生活を楽しむ気持ちが確かに広がっています。
古くて良いもの、そしてその魅力がインターネットを介して届けられることは現代ならではの素晴らしさで、それも人の繋がりなくしては成り立たないのも事実。悲観的な見方が溢れる現代も、捨てたものではない気がします。

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近藤様とライター吉沢

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ラフジュ工房 もりたより

近藤さまのお宅は、予想を上回るほどにこだわりと匠の技、暮らしの工夫に満ちた空間でした。 朗らかな表情と、軽やかな身のこなしで次々と家具のエピソードをお話ししてくださる近藤さまは、現代の暮らしの中で、"古きよきもの"の良さを熟知し、その向き合い方、付き合い方を心から楽しんでいらっしゃいました。 リビングダイニングのアクセントになっているゴブラン柄の上品な一人掛けソファは、なんと道に出してあったどなたかの不用品だったとのこと。そうした昔ながらの家具たちも気に入れば大切に引き継いでゆく。素敵な思想ですよね。そんな近藤さまの手によって作りだされた、憩いと創造のレンタルスペースは、日々を心豊かに感じさせてくれる、魔法のような場所でした。

【ご要望について】
「地元で修理を請け負える、提携の家具屋さん」ですが、当店は所在地が茨城にある為、遠方のお客さまには同じご要望をいただくこともしばしばあります。気兼ねなく預けることができたり、直ぐに見てもらえたりと、そんな環境が近隣にあるとご安心いただけますよね。将来的にご希望に添えるようなサービスも検討しておりますが、直ぐには難しい現状でございます。恐れ入りますが、お困りの際にはどうかお気兼ねなく当店にお電話いただき、ご相談くださいませ。当店のカスタマーや職人がしっかりとお客様のご不明点、家具へのご不安を解決できるようお話をお伺いし、メンテナンス対応をさせていただきます。


筆者のご紹介

吉沢朋

「物買って来る 自分買って来る」 大好きな京都の陶工・河井寛次郎の言葉です。 家具との出会いについて伺うと、家具ひとつが使い手の価値観をいとも簡単に明らかにしてしまうので驚くほどでした。
アンティーク家具と、そこから育ったストーリーは、私にとってワクワクするものばかり。
きっと、読む人の暮らしも楽しく豊かにするヒントが隠れているはずです。

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