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アンティーク家具について

青い和食器の定番。日本の磁器で知る染付の歴史といろは

ここ最近、あらためて人気を集めている和食器。伝統的な意匠を基調としつつも、より現代に受け入れられるように、すっきりとデフォルメされたものも多くあります。
その定番の一つとして、青(藍)色の「染付」の技法を使った器は、和食器を語る上で避けて通れないもの。よく見ると一つひとつ趣きある絵付けの表情。それは文様自体のデザイン性ももちろんですが、技法によっても出来上がるものは全然違うのです。
そんな青に惹かれるあなたも、もう少し深くその魅力に触れてみませんか?というわけで本日は、染付のいろはのお話です。染付の歴史や定番の技法など、ルーツを通して見える魅力をご紹介していきます。

そもそも染付とは?

アンティーク染付深皿
染付とは、磁器の装飾技法のひとつで、白地に青で文様をのせたもののこと。もともとは中国で誕生したこの技法は、現地では「青花(せいか)」と呼ばれています。
手法は、成形・素焼きを終えた白地に呉須(ごす)というコバルト系の顔料で図柄を描き、その上から透明な釉薬をかけて焼き上げます。また、染付が日本に伝わった当初の17世紀頃は、少しくすんだやわらかな色合いのコバルトでしたが、この頃はまだ原料を手に入れるのが難しく、まとまった量を作ることができませんでした。
やがてドイツから量産型のコバルトが作れるようになったことで、19世紀頃には色鮮やかなものに変わっていったそうですよ。

染付の絵柄で分かる技法の種類

青は青でも、絵柄の雰囲気がなんか違う、と思ったこと、ありませんか?それは施されている技法の違いによるものなんです。今回は、染付の3つの主な技法を挙げてみました。

繊細な絵柄が表現できる、下絵付け

下絵付けの染付皿
名前の通り、釉薬をのせる前に絵付けを施していく「下絵付け」。
一回素焼きした白地に輪郭などの細い線を描き、その後太い筆などで色を塗りつぶしていきます。この「濃(だみ)」と呼ばれる工程は、顔料が染み込みやすくなった状態の白地に、塗りが流れないように絶妙な加減で行わなければならないため、とりわけ根気と技術を要します。
ただ、手描きや焼き温度による色ムラやにじみも、また趣が表れる “美” とも取れる部分。その意図的ではない装飾が、大きな魅力の一つですよ。

染付が人気になったことで量産を図った、印判

印判染付皿
当初一つひとつ丁寧に絵付けを施していた染付も、人気が高くなったことで量産化を図ろうとします。
少しでも多くの器を生産するべく、日本では明治10年ごろから「印判」という手法を用いられるようになりました。要は、今でいうプリントのことです。印判の方法も2種類に分かれており、銅版を使って転写する方法と、型紙を器面に摺りあてる方法があります。下絵付けの器ほどの希少性はありませんが、大量生産が可能になったことで、染付が日常食器として広まりました。
ただ、効率化が図れたとはいえ、印判も手作業が伴います。同じ絵柄でもにじみやズレがあることが、見ていて飽きない魅力になっているのではないでしょうか。

手作業の趣が残りやすい吹き墨

吹き墨染付皿
吹き墨は、先ほどお話しした印判同じように、型を敷いた上から顔料をのせるのですが、基本的に吹き付けによって着色を行うのが特徴。
霧吹きのようなものを使って行う方法もあれば、筆に含ませた顔料を吹き散らすこともあります。吹き付ける回数や量で、ふぞろいなグラデーションを表現していきますが、その繊細さも職人の性格や技術によって違うように思えます。
こちらの吹き墨に関しても中国がはじまりですが、日本に伝わったのは16世紀で、初期の伊万里に見ることができました。

違う?同じ?「伊万里」と「有田」の関係

伊万里焼と有田焼の違い
佐賀県の焼き物の産地として名高い「伊万里」と「有田」。ただ隣接する2つのまちで、作るものがどう違うのか、いまいち分からない方も多いと思います。
有田で焼かれていた磁器が、伊万里から出荷されていた江戸時代は、有田で作られているものも「伊万里」と呼ばれ、有田焼の代名詞として広まったと考えられます。現代ではその “古い有田焼” を区別するために「古伊万里」と言われるようになりましたが、明治時代になると鍋島藩による窯元統合により、伊万里市で作られたものを「伊万里焼」、有田町で作られたものを「有田焼」とするようになりました。
しかし、元々一つだったものをすみ分けただけで、2つの地で染付の工法に大きな違いは無いものの、伊万里焼の方が繊細で豪華なイメージですよね。それは鍋島藩によって将軍に献上する用の器を依頼されたため、伊万里では美術品としての焼き物を、有田では普段使いの大衆食器が作られたと言われています。

最後に

これまで見ていてうっすらと思っていた、染付の器の表情の違い。技法や作られた時期・顔料によってもこんなに変わるものなのだと、あらためて筆者も知ることができました。
染付の実際の活用術に関してはもちろん、今回はご紹介しきれなかった “鍋島の色絵” については、また次回以降触れていきますので、お楽しみに。

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